不具合16件でもギスギスしない!自責思考を促す反省会の作り方

業務で不具合が相次ぐと、どうしても「誰のせいか」を追及する空気になってしまいますよね。
でも、その空気ができてしまうと、
- 追及されることが怖くて、報告できなくなる
- 従業員を萎縮させて、改善の学習サイクルを止めてしまう
- 改善より犯人探し優先で、同じミスが何回も起きる
こんな職場になってしまいます。
今回ぼくは、16件の不具合が発生した案件で、社長から反省会の開催を命じられました。
そんなぼくが最優先したことは、”人を責めない”ことです。
業務の反省会では、進行時のテクニックより大切なことがあります。
「自分にも改善できるところがある」と参加者全員に”自責思考”を持ってもらうことです。
この記事では、
- 実際におこなった準備
- 反省会を通じて見えた課題と改善策
について、すぐに実践できる形でお伝えしていきます。
なぜ「責めない反省会」が必要?
不具合が続くと、現場はすぐ「これ誰のせい?」という空気になりますよね。
そうなると当事者からの報告は減るし、改善案も積極的に社員からでなくなってしまって、
そして結局また同じミスが起きる…
どんな会社にでもある、あるあるですよね。
だから反省会は、責任を追及する場じゃなくて、「なにが起きたのか」をみんなで共有して、次にどうするかを考える場にする必要があります。
責める空気がなくなれば、部署や立場を越えて率直な意見が出やすくなります。
今回の案件では、2025年8月4日の時点で不具合が16件発生していました。
- 図面・指示ミス:9件
- 製作・検査ミス:7件
この件数だけ見れば「これ、図面担当者が悪いんじゃ…?」と思われても仕方ありません。
実際、社長からも「設計がちゃんと共有・指示すれば問題なく改善する」なんて話も出ましたし…
でも、このままでは会議が”犯人探しの場”になって、改善どころか社内関係がギスギスするのは目に見えてました。
そこでぼくは、”だれを責めるか”ではなく”自分は何を変えられるか”を全員で考えられる場にしよう!
と考えました。
会議の準備でやったこと
今回の会議の目的は3つです。
- 責任追及ではなく事実の共有をすること
- 個人レベルでの改善案を、本人が提案すること
- 部門間の連携を強化すること
そのために、参加者には、事前準備として全員に「3つの質問をするので答えられるようにしてください」とあらかじめお願いをしていました。
- 自分が至らなかったと感じたこと
- その補い方(個人改善案)
- 組織として取り入れたい仕組み案
このお願いは、全員が自分事として振り返りって、主体的に改善案を考えてほしいという思いを込めたものです。
”自分に何ができたか”を考える。
その姿勢が、組織全体の成長に繋がってくれると信じて準備に取り組みました。
反省会の実践と結果
出席者は15名(幹部3名、社員12名)。
この反省会の結果ですが——
成功度でいうと30%…
正直、ぼくの思った通りにはいきませんでした。
”自責思考”で考えてもらうってほんっっとうに!難しいんですね!!
事前にお願いした「自分が至らなかったこと」と「その補い方」まで発表してくれたのは、社員7名と幹部1名まで。
残りの幹部2名と社員5名は、こんな発言が目立ちました。
- 「まとめチェックを行う最終管理する人が必要」
- 「誰が管理・指示するかを明確にすべき」
- 「従業員のスキル不足を解消することが必要」
要するに、“他者がやるべきこと”にフォーカスした意見が出てしまいました。
”自分の何が悪かったか”、”自分が何をするべきだったか”は意見としてまったくでてきませんでした。
「では、その提案を実現させるためにあなたは何ができますか?」と聞いても、やはり個人としての行動や改善案より、組織や他者への要求に終始してしまいました。
このとき感じたこと
もちろん彼らの言い分にも理由はあります。
同じ課で苦しんでいる仲間たちの意見を批判したくありません。
今回の件には、
- 製作工程優先で、客先仕様の決定が不十分なまま図面を流さざるを得なかった
- 変更内容が当事者同士しか共有しておらず、全体に共有されなかった
- 他案件処理があるため、当該案件に参加できなかった人がいる
- 本来の管理職が、誰が何を対応しているか把握していない
こうした背景があるからこそ、「もっと管理を」とか「仕組みを」と言いたくなるのも理解できます。
ただ、今回ぼくが強く感じたのは、全員が自己分析や自省ができるわけではないということ。
「自分の行動を見直す」という習慣がないと、改善案はどうしても他人任せになってしまうんだ——
そう痛感しました。
反省会で得た教訓と改善策
今回の学びは、形式的な工夫だけでは限界があるということです。
会議の流れ、質問の仕方より、参加者一人ひとりの意識——
”自分にも改善できる部分がある”と考える自責思考
これが欠けていると、議論はどうしても他責の方向に傾いてしまいます。
次に同じような反省会を開くなら、
”意識の土台作り”から始める必要があると確信しました。
建設的な反省会になるよう、ぼくが考える改善策をまとめました。
- 冒頭で“自責思考”の重要性を共有する
会議冒頭で、”なぜ他責思考では改善ができないのか”を説明します。
他責思考になると、原因も解決策も相手や環境に委ねることになるので、自分は何も行動しなくなってしまいます。
その結果、状況は何も変わらず、同じような問題が繰り返されます。
自分の行動や判断を振り返ることができれば、今すぐにでも自分で変えられるところを見つけることができます。
その変化が周囲にも伝わって、周りの行動や考え方も少しずつ変わっていくことができます。 - 会議冒頭に個人振り返りの時間を確保
発表前に5分ほどの時間を使って、紙に書き出してもらいます。
他の人の意見を聞いてからの発表だと、その内容に自分の思考が影響されてしまいます。
他責発言の中、自分だけ自責の考えを言うのはとても勇気が必要になってきます。
先に自分の考えを書き出しておけば、発言時にも周囲の影響を受けにくくなって、本音や自分なりの改善案を出しやすくなります。
反省会の成否を分けるのは「会議のテクニック」ではなく、参加者が自分事として考える空気を作れるかどうかでした。
進行役の最大の役割は、「誰のせいか」を探す場にしないこと。
その環境づくりです!
まとめ
反省会を建設的にする鍵は”会議の進め方”ではなく”参加者の意識づくり”です。
他責の考えでは、原因も改善も相手任せになって何も変わりません。
まずは進行役が、自責思考の大切さを伝え、安心して自分事として話せる場を作ることが大切です。
それが、部署や立場を超えて本音の意見を引き出して、現場を変える第一歩になります!
あなたにいい明日がありますように!
[…] この時の様子は、ぼくがまとめた記事「不具合16件でもギスギスしない!自責思考を促す反省会」でも紹介しました。 […]